歯医者が教える、最も正しい歯磨きの回数とタイミングとは?

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前岡遼馬
このコンテンツは、現役の歯科医師がお口の健康に関する話をできるだけわかりやすい言葉を使って解説するブログ記事です。当サイトの運営はこちらの運営理念に沿って行われています。

あなたは、

「正しい歯磨きの回数とタイミングを知っていますか?」

と質問されて、すぐに答えられるでしょうか?

「歯磨き」という行動は、あなたが物心ついた頃から毎日繰り返している習慣と言ってもいいもののはずです。

しかし、実際には日本人の90%以上の方が「正しい歯磨き」を知らないという現実があります。

そこで今回は、僕が実際の診療で患者さんにお話している、「本当に正しい歯磨きの知識」をわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

この記事を読み終わった頃には、最初の「正しい歯磨きの回数とタイミングを知っていますか?」という質問に即答できるようになっているはずです。

一生自分の歯で、自分らしく生きるために、とても重要な話になるので、是非、最後までしっかりと読んでみてください。

では、早速いきましょう!

結論!最も正しい歯磨きの回数とタイミングは・・・

最初からいきなり結論をお話したいと思います。

あなたの大切な歯を守るために必要な歯磨きの回数とタイミングは、

「1日1回、夜寝る前に磨くこと」

です。

1日3回以上磨いたり、食事の度に磨く必要もありません。

これからその根拠を詳しくお伝えしていきたいと思います。

なぜ1日1回の歯磨きでお口の病気を防げるのか?

では、これから「なぜ歯磨きが1日1回で十分なのか」についてお話していきたいと思います。

恐らくあなたが今まで聞いたこともなかったような内容になるかと思いますので、集中して読み進めてください。

日本人の9割以上が知らない、「歯磨きをする目的」とは?

突然ですが、あなたは、

「歯磨きをする目的」

を知っていますか?

僕は自分の医院に初診でいらっしゃった患者さんには、全員にこの質問をしているのですが、その答えのほとんどは、

  • 食べカスを取るため
  • 虫歯予防のため

という、2つにまとめることができます。あなたの答えはどうだったでしょうか?

実は、プロの視点で歯磨きの意味を考えると、上記の答えは完全に間違っています。

歯磨きの目的は、食べカスを取るためでもなければ、虫歯を予防するためでもないのです。

歯磨きをする目的、それは・・・、

歯の表面についている、プラーク(細菌の塊)を取り除くこと

です。

そして、虫歯を予防するのではなく、

歯周病を予防するために行う

のが正しい認識です。
(虫歯の予防の仕方については後ほど詳しくお話します)

「そんなバカな!」と思うかも知れませんが、正しい知識を持った歯医者にとってはごくごく当たり前の話だったりします。

あなたの周りにも「食後にほとんど歯磨きしていないのに、なぜか虫歯ができない人」がいるかと思いますが、それこそが”歯磨きは虫歯予防にそこまで効果はない”ことのいい例です。

歯磨きの正しい目的を理解しておかなければ、「頑張っているのに定期的に虫歯ができてしまう」「久しぶりに歯医者に行ったら歯周病だと診断された」といった事態にもなりかねません。

なぜなら行動の目的が違ってしまえば、得られる結果も当然違ったものになってしまうからです。

例えば、あなたは普段、何を目的にお部屋の掃除をするでしょうか?

恐らく、「ホコリを取り除くため」という答えが返ってくるかと思いますが、仮に「ホコリを取り除くために掃除をする」という知識がなかったとしたらどうでしょう?

もしかしたら、いきなり天井に掃除機をかけてしまったり、キレイな壁を雑巾で拭き始めてしまうかも知れません。

少し極端な例かも知れませんが、歯磨きに関して言えば、ほとんどの方が「歯磨きの正しい目的」を知ることなく、”何となく”で歯を磨いてしまっているのです。

だからこそ、「1日3回、食後に磨いた方がいい!」とか、「食べカスを取らないと虫歯になる!」といった誤った認識が広まってしまうわけです。

そもそも食後に歯を磨く必要なんてない!?

先ほど、「歯磨きは食べカスを取るために行うものではない」とお話しましたが、その根拠をお伝えしたいと思います。

かなり衝撃的な事実になるのですが、そもそも食べカスはほとんどお口の中に残りません。

試しにこれから食事を取った後で、鏡でお口の中を見てもらいたいのですが、目立った食べカスはほとんど残っていないはずです。せいぜい残っていても、歯と歯の間に繊維質な野菜や肉類が挟まっているくらいでしょう。

仮に友達と会話をしながら食事をする場面を想像してもらいたいのですが、「相手の歯に食べ物がたくさん残っているのが気になって、会話に集中できない」という状況に遭遇したことはないはずです。

その理由は、お口の中にはとても器用な”舌”という器官があるからです。

そもそもお口の中は、髪の毛1本であってもすぐに気づくほど繊細なので、食べカスのように大きなものであれば、見逃すはずがありません。

意識しなくても舌が勝手に取り除こうとします。

そして、お口の中に常に出ている、唾液の効果もあって、食べカスは歯の表面から洗い流されます。

舌や頬っぺたといった粘膜、歯、唾液などの働きが複雑に絡み合ってお口の中から異物(食べカスなど)を取り除こうとする働きを、専門的には自浄作用(じじょうさよう)と言います。

この働きのおかげで、「食後に食べカスがたくさん残っている」という状況はほとんど生まれないのです。

ただ、ここでおかしなことに気づくはずです。

本来、「食べカスを取るために歯磨きをする」という認識を持っているなら、

食後に鏡でお口の中を見たときに、
食べカスが見当たらなければ歯を磨く必要はどこにもない

ということになります。

ところが、あなたも職場などでよく見る光景かと思いますが、多くの方がお口の中に目立った食べカスはないにも関わらず、トイレなどで一生懸命歯を磨くのです。

よくよく考えてみると、少し不思議な光景ではないでしょうか?

ほとんどの方が歯磨きで取り除きたいと思っているはずの「食べカス」が、お口の中に残っていないのに、歯磨きをする・・・

これは明らかな矛盾です。

このように普段の生活を振り返ってみても、今回僕がお話している、

「歯磨きは食べカスを取るためにやる行為ではない」

という意味が分かってくるのではないでしょうか。

これを知れば、日本のトップ10%!正しい歯磨きのやり方を解説

ではここで改めて、歯磨きをする本当の目的について触れてみたいと思います。

先ほど、「歯磨きは歯の表面についている、プラーク(細菌の塊)を取り除くために行う」と言いましたが、プラークが一体何なのか、少し詳しくお話したいと思います。

先ずはこちらの写真をみてください↓↓↓

この写真に写っている歯にはたくさんのプラークがついているのですが、どこだか分かるでしょうか?

分かりやすいように専用の赤い液で染めてみると↓↓↓

このようになります。赤く染まったところが、プラーク(細菌の塊)です。

プラークが出す毒素は歯茎に炎症を引き起こし、歯周病を進行させます。

染めなければ、白色なのであまり汚い印象は持たないかも知れませんが、このプラークには耳かきの先くらいの量でも10億もの細菌がいます。

おおよその密度で言えば、うんこの10倍くらいです。

歯磨きでこのプラークが取り除けていないなら、「大量のうんこを歯の表面にくっつけて生活しているようなもの」だと考えれば、いかに正しい歯磨きをすることが大切なのか実感できるのではないでしょうか。

このプラークはドロドロにしたお粥のようなもので、歯の表面にベタッとくっついています。マウスウォッシュなどでお口をゆすいだだけでは、取れません。

歯ブラシを使って歯の表面を擦(こす)らなければいけないんです。

ただ、難しいことは何一つありません。

歯ブラシの毛先をプラークがついている歯面に垂直に当てて、優しい力で細かく動かせば、簡単に取り除くことができます。

では次に、どのくらいの時間でプラークが歯の表面に溜まってくるのかをお話しておきます。

答えはとてもシンプルで、

約24時間

です。

お口の中の細菌は例えるなら、空気中を舞っているチリのようなもの。

そのチリが降り積もってホコリの塊になるように、プラークもお口の中の細菌が時間とともに集まってできるものです。

つまり、食事をしたかどうかは関係ありません。1日中何も食べなかったとしても、プラークは歯の表面に溜まってくるのです。

その時間が約24時間だということです。

そして、プラークが特に増えやすいのが、「夜寝ている間」です。

なぜなら寝ている間は、抗菌作用のある唾液の量が少なくなるからです。

寝る前に歯の表面に溜まったプラークをしっかり取り除く大切さも、これでよく分かったのではないでしょうか。

ここまでの話を理解していただけたあなたなら、

「歯磨きは1日1回、夜寝る前にやれば十分」

という意味が少しずつ分かってきたかと思います。

ここでは、詳しくお話していませんが、歯磨きのやり方についてもっと詳しく知りたい場合は、

歯医者も出来ない!?本当に正しい歯磨きの仕方をイラストと写真で徹底解説!

こちらの記事を参考にしてみてください。

本当に効果のある、虫歯予防のノウハウとは?

ここまでの内容をしっかり読んでいただいたあなたなら、恐らく、

「歯磨きは虫歯予防のためじゃなくて、歯周病予防のためにやることは分かったけど、それなら虫歯はどうすれば効果的に予防できるの?」

という疑問を持たれたことでしょう。

そこでここからは、「本当に効果のある虫歯予防」についてお話しようかと思います。

原理原則が分かってしまえば、全く効果のないお口のケアグッズなどを買ってしまう心配もなくなりますし、どの歯医者が本当にあなたのことを考えてくれているのかも分かるようになります。

是非、しっかりと学んでもらえればと思います。

歯磨きは歯周病予防、では虫歯予防は・・・

ここでも結論から先にお話していきます。

虫歯を予防する上で最も効果があるのは、

シュガーコントロール

です。

少し聞きなれない言葉かも知れませんが、簡単に言えば、「お口の中に入る、砂糖を含んだ食品や飲み物をしっかりとコントロールすること」です。

これだけで虫歯のリスクは劇的に下がります。

その理由をこれから詳しく解説したいと思います。

「虫歯の原因」を正しく捉えれば、答えは見えてくる!

僕ら歯医者が大学で習う知識としてメジャーなものの中に、

「虫歯は”Keyes(カイス)の3つの輪”という因子が重なり合う場合に起こる」

というものがあります。

“Keyesの3つの輪”を図にすると、

このようなものになります。

  • 宿主と歯
  • 微生物
  • 飲食物

という3つの要素が絡み合って、中心に書いてある齲蝕(うしょく)、つまり虫歯になるということを示した図です。

簡単に解説しておくと、「宿主と歯」というのは、唾液の性質(抗菌性が高いなど)やそれぞれの歯の形、歯並び、歯がお口の中に生えてからどれくらい経つのか(成熟度)といった要素のことを指します。

「微生物」という要素は、文字通り、お口の中にいる細菌の種類や数のことです。

そして、「飲食物」は説明するまでもないかと思いますが、お口の中に入れる食べ物や飲み物の要因のことです。

この3つの要素をよくよく考えてみると、1つ気づくことがあると思います。

それは、3つの要素のうち、

「宿主と歯」、「微生物」という要素は僕らが簡単にいじることができない

ということです。

「宿主と歯」に関して言えば、唾液の性質は先天的にある程度決まっているので、僕らがコントロールできるとすれば、”水分をたくさん摂って唾液が出やすい環境を作ること”くらいです。

またそれぞれの歯の要素(形や溝の深さなど)も、僕らにはどうすることもできないことが多いと思います。矯正などを行えば、歯並びという要素はいじることができるかもしれませんが、かなり大掛かりになってしまいます。

そして、「微生物」という要素に関しては、お口の中に生息する細菌の種類は3歳くらいまでにある程度決まってしまうので、物心がついてから大きく変えることはできません。

細菌の数に関しても、歯ブラシやマウスウォッシュを使えば一時的に減らすことはできますが、あなたも知っての通り、細菌は倍々ゲームで増えていくので、すぐに「もうこれ以上増えられない」という数まで達してしまいます。

結局、虫歯の大きな原因とされる3つの要素のうち、僕らが普段の生活でコントロールすることができるのは、「飲食物」という要素だけなのです。

しかし、この「飲食物」という要素だけでも正しく捉えることができれば、虫歯のリスクをグッと下げることができます。

「砂糖」のコントロールが虫歯予防のキモ!

では、これから虫歯の大きな原因となる、「飲食物」のコントロールの仕方についてお話したいと思います。

先ほど、「シュガーコントロール」という言葉が出てきましたが、これは「砂糖がお口の中に入る量と回数、タイミングをコントロールする」ということです。

お口の中にはとてもたくさんの細菌が住み着いているという話は、以前にもしましたが、この事実は変えようがありません。

つまり、お口の中はお腹を空かせた動物たちがいつもたくさんいる、動物園のような状態になっているんです。

エサを檻(おり)に入れると、動物たちが集まってきてむしゃむしゃ食べ始める様子が想像できると思いますが、食べ終われば彼らは排泄(うんこやおしっこ)をします。この様子がお口の中にとても似ているんです。

お口の中にいる細菌の大好物は、”砂糖”です。砂糖がお口の中に入ってくると、一斉に集まってきてむしゃむしゃ食べ始めます。そして、排泄物のように歯の表面を溶かす、”酸”を作り出すのです。

この酸によって歯の表面がジワジワと溶けて、穴ぼこになってしまったものを僕らは”虫歯”と表現しています。

この話をすると、

「じゃあ、砂糖が入る回数が多ければ多いほど歯の表面が溶けるわけだから、年を重ねるごとに歯の表面が溶け続けるんじゃないか?」

という疑問が出てくると思いますが、心配は要りません。

お口の中には、唾液という強い味方がいるからです。唾液には、再石灰化作用と呼ばれる、溶けてしまった歯の表面のミネラルを歯に戻す力があります。

このおかげで、トータルで言えば小さな子供よりも圧倒的に多くの砂糖を口にしているであろう、大人の歯でも、「溶けてなくなってしまう」ということにはならないのです。

「再石灰化する時間の長さ」が虫歯になるかどうかを決める!

ここまでの話をまとめてみると、

  • 砂糖がお口の中に入る度に、細菌が作り出す酸によって歯の表面が溶ける
  • 溶けた歯の表面は唾液の力で元どおりに戻る(再石灰化)

ということでした。

では、なぜ唾液による再石灰化という力があるにも関わらず、虫歯ができてしまうのかと言うと、「再石灰化が起こるためには時間がかかるから」です。

砂糖がお口の中に入ってきて、細菌が酸を作り出すまでにかかる時間は、ほんの一瞬です。つまり、甘いものを食べたり飲んだりした瞬間には、既に歯の表面は溶け始めているんです。

一方で、唾液による再石灰化が起こるためには、砂糖を含んだ飲食物を食べ(飲み)終わってから、1〜2時間の時間がかかります。

簡単に式に表してみると、

健康な歯+砂糖→歯が溶ける

溶けた歯+唾液→→→→→→→健康な歯

(「→」の数は時間の長さを示している)

ということになるんです。

つまり、

「虫歯にならないためには、砂糖を含んだ飲み物や食べ物をお口に入れる回数やタイミングをコントロールしなければいけない」

ということになります。

再石灰化が起こっている途中で、再び砂糖を含んだ食べ物や飲み物がお口の中に入ってくると、再び歯の表面が溶け始めてしまいます。

再石灰化している時間<<歯が溶けている時間

となるので、虫歯になってしまうんですね。

では、ここでシュガーコントロールを普段の生活習慣に取り入れることを考えてみましょう。ここまでの話を具体的な習慣に落とし込んでみると、

  • 砂糖を含んだ飲食物はチビチビ、ダラダラとお口に入れない
  • 食事は菓子パンなどの砂糖を大量に含んだものは避ける
  • 食事(間食)と食事(間食)の間は最低でも2時間は空ける

ということになります。

シュガーコントロールを正しく理解すれば、アメなどのお口の中に長時間滞在するお菓子を食べたり、デスクワークの最中に砂糖を含んだ飲み物をチビチビ飲むことが、リスクの高い習慣だということも分かってくるはずです。

一般の方の歯磨き事情をプロの目線で辛口チェック!

ここまでの内容で、

  • 歯磨きの目的は、食べカスを取ることではなく、プラークを擦(こす)り取ること
  • 歯磨きは虫歯予防のためではなく、歯周病予防のために行う
  • 虫歯を効率よく予防したいなら、歯磨きではなく、シュガーコントロールを大切にすべき

という話をしてきましたが、この内容を踏まえた上で、世間一般の方が実践している歯磨きについて「辛口チェック」をしていきましょう。

日本人は平均でどれくらい歯を磨いているのか?

厚生労働省が2011年に行なった歯科疾患実態調査という統計によると、毎日1回以上歯を磨く人は全体の95.4%というデータが出ています。

また1日の歯磨き回数に関して見てみると、1日2回磨く人が48.3%、3回以上が25.2%、1回が21.9%という結果になっています。

厚生労働省のデータを確認する場合はこちら:その1その2

またライフメディアのリサーチバンクで行われた2015年の調査では、1日1回以上は磨く人のうち、44%の人が1〜3分間、34.2%の人が3〜5分、歯を磨いていることが分かっています。

リサーチバンクのデータを確認する場合はこちら

「何分磨けばいいのか?」、「1日何回磨けばいいのか?」という質問はナンセンス!

先ほどの統計は世間一般の人がどれくらい歯を磨いているのかを知る上では役に立ちますが、プロの目でこの結果を見てみると、特に意味はない情報だと言い切れます。

なぜなら、大切なのは

歯を磨いた回数や時間ではなく、1回の歯磨きの質

だからです。

冒頭でも僕は、「歯は1日1回磨けばいい」とお話しましたが、「適当にササッと1回磨けばそれでOK」というわけではありません。

お部屋の掃除でもそうですが、「どれくらいの時間、掃除をしたのか」や「1日に何回掃除したのか」ということは重要ではないはずです。

「いかに部屋の中のホコリやゴミをキレイに取り除くことができたか」

だけが、”掃除ができたかどうか”を判断する基準になるはずです。

歯磨きの場合は、

どれだけ歯の表面についているプラークをしっかり取り除くことができたか

が、効果のある歯磨きができているかどうかの基準になります。

プラークは白色なのでなかなか見分けがつかないかも知れませんが、歯医者でしっかりと磨けているか確認してもらったり、自分で歯垢染色液と呼ばれる、プラークを赤く染める液を使って磨き残しがないかチェックする必要があります。

プラークが落ちていない歯磨きの仕方であれば、1日100回磨いても、1回につき1時間以上磨いても、ただの時間のムダになってしまいます。

あなたの貴重な時間を意味のない歯磨きに費やしてしまわないためにも、「歯磨きの質」に是非、こだわってもらえればと思います。

プロが歯磨きするとどれくらい時間がかかるのか?

「歯磨きをする時間の長さに大した意味はない」とお話しましたが、目安までの僕が丁寧に歯磨きをするとどれくらいの時間がかかるのか、お話したいと思います。

僕が通常の歯ブラシを使って磨く場合、どれだけ早く磨いても10分はかかります。

ただ、これは飽くまでトレーニングした結果、これだけの時間で収まっているだけです。歯医者になってから初めて本気で歯磨きをしてみた時は、1時間近くかかりました。

プラークがついている場所(“歯と歯茎の境目”と”歯と歯の間”)を意識しながら、1本1本の歯を磨こうとすると、とても時間がかかるのが実際のところです。

ただ、プロになるわけでもないのに毎日1時間近くも集中して歯を磨くのは大変なので、初めのうちは歯をブロックに分けて、「今日は右上の奥歯を丁寧に磨こう」とテーマを決めて磨くようにしてみてください。

コツが掴めてこれば、お口の中全体を磨く際にも短時間で磨けるようになってくるはずです。

正しい歯磨きの仕方は、先ほども紹介した、

歯医者も出来ない!?本当に正しい歯磨きの仕方をイラストと写真で徹底解説!

こちらの記事を参考にしてみてください。

「食後30分以内に歯を磨いてはダメ」の真相とは?

ここまでの内容をしっかり理解していただければ、あなたの歯を守る上で必要な知識は十分手に入ったはずです。

ここからは「おまけ」のような話になりますが、僕がよく質問を受ける内容についてもお伝えしておきたいと思います。

テレビ番組などで放送される度に患者さんからも質問されるのですが、

「”食後30分以内に歯を磨いてはダメ!”と言っていたけど、本当なの?」

というものがあります。

そもそも、この説がなぜ話題になるのかと言うと、2010年の9月に放送された「ためしてガッテン」という番組で取り上げられたからです。

NHKが放送する番組での内容だったため、信憑性が高いと感じる方が多かったのか、世間にも広く認知されるようになったわけです。

そもそも食後30分以内に歯磨きをする理由がない

先ほどの「食後30分以内に歯磨きをしてはいけない」という説の背景にあるのは、”食後、食べ物に含まれる砂糖の影響で歯の表面が溶けかけているから、歯ブラシで擦(こす)るとエナメル質を削り落としてしまうリスクがある”というものです。

ただ、この説はそもそも理にかなっていません。

食後すぐに歯を磨くようにしている人は世の中に大勢いますが、そのような習慣を持つ方々の歯がどんどん擦り減っているかと言えば、全くもってそんな傾向はありません。

そもそも物理的に、ナイロンでできた歯ブラシの毛先くらいで、硬いエナメル質を削り落とすことはできないのです。

そして、ここまでの話を理解しているあなたならもう分かるかと思いますが、歯磨きは24時間に1回、プラークをしっかり落とせていればいいので、「食後に歯磨きをする意味」自体がそもそもないのです。

なので、上記の説に対する僕の考えをお伝えすれば、「そもそも食後に磨かなくていいので、寝る前に1日1回、丁寧に歯磨きしてください」という答えになります。

歯医者が実際にやっている歯磨きの習慣とは?

では最後に、僕が実際にやっている歯磨きの習慣についてお話しておきたいと思います。

「こうしなければいけない!」というものではないので、飽くまで参考程度に読んでください。

1、朝起きたら適当にざっくりと歯を磨く

朝起きた時には、寝ている間でお口の中で増えたプラークによって、お口の中がネチャネチャしているかと思います。

僕はこの感覚が気持ち悪いので、朝食を食べる前に大雑把に歯の表面を磨くようにしています。

ただ、この際に行うのは歯磨きとは言えないレベルの、本当に適当なものです。

実際、朝食を食べる前に歯を磨かなくても、食事の際に食べ物によって歯の表面が擦(こす)られ、大部分のプラークは取れてしまうので、そこまで朝の歯磨きに神経質になる必要はありません。

寝起きの頭が回転していない状態で何となく歯磨きをするよりも、繊維の多い野菜や主食となるパンやご飯などをよく噛みながら朝食を食べることの方が大切です。

2、昼食後の歯磨きも適当で大丈夫

「昼食を食べたら一生懸命歯を磨かなければいけない」というイメージをお持ちの方も多いのですが、僕自身、ここでも適当にしか磨いていません。

すごく繊維の多い野菜やお肉などが歯と歯の間に挟まってしまった時は、フロスなどで取り除いたりはしますが、これは飽くまで食べカス取りであって、歯磨きではありません。

納豆などのニオイの強い食べ物がお口の中に残っていると、どうしても口臭に影響するので、昼食の内容によっては少し丁寧に歯を磨くこともありますが、プラークを取り除くための歯磨きではないので、せいぜい1〜2分で終了です。

「エチケットだから」と歯磨き粉をつけて長時間歯を磨く方もいますが、実際のところ歯磨き粉の効果で爽やかになった口臭も、30分と持続しません。

口臭に最も影響するのは、「食後に歯磨きをしたかどうかではなく、普段からプラークを取り除けるような歯磨きをしているかどうか」です。

僕の普段の診療でも、口臭を気にされて来院される方の9割が歯周病です。

プラークを取り除くための歯磨きを練習して、1日1回丁寧に磨くようにするだけで歯周病は改善し、口臭も劇的に減っていきます。

3、寝る前の歯磨きに最も時間をかける

僕はほとんどの場合、夕食後すぐに歯を磨くことはありません。寝る前の歯磨きだけで十分だからです。

というよりも、この寝る前の歯磨きが最も重要です。

この時に行うのは、“全ての歯の表面についたプラークをキレイに落とし切る”という、本来の目的を達成するための歯磨きです。

1本1本の歯を鏡でよく見ながら、プラークが残りやすい「歯と歯茎の境目」と「歯と歯の間」だけに意識を集中して丁寧に歯ブラシを当てていきます。

プラークがほとんど残らない、歯の平らな部分や噛む面は磨かなくても問題ありません(これらの部位は唇や食べ物が擦れて自然にキレイになっているからです)。

歯磨き粉はつけず、歯ブラシの毛先がどこに当たっているかをよく見ながら行うのがポイントです。

基本的にプラークを取り除くための正しい歯磨きを実践する際、鏡を見ずに行うのは不可能です。

磨く歯自体を見ずに歯磨きしようとするのは、わざわざ電気を消して部屋の掃除をしようとしているのと一緒です。

普段から患者さんの歯に触れ、歯の解剖学的な知識も持っている歯医者でも、鏡を見ながらでなければ絶対に正しい歯磨きはできません。

是非、あなたも今日から手鏡を持って、1本1本の歯を見ながら、1日1回、丁寧に歯を磨く習慣を始めてみてください。きっと自分でも驚くくらい、歯の表面がツルツルになるはずです。

まとめ

今回はかなりの情報量だったと思いますが、いかがでしたか?長めの記事になってしまったので、最後に要点を改めてまとめておきたいと思います。

  • 最も正しい歯磨きの回数とタイミングは、「1日1回、夜寝る前に丁寧に磨くこと」
  • 歯磨きをする目的は、食べカスを取るためではなく、プラーク(細菌の塊)を取ること
  • 歯磨きは虫歯予防にはそこまで効果はない
  • 歯周病予防に最も効果があるのが歯磨き
  • 虫歯予防に最も効果的なのは、シュガーコントロール
  • 再石灰化の時間をどれだけ確保できるかで虫歯になるかどうかは決まる
  • 歯磨きの「時間」や「回数」はどうでもいい!大切なのは、1回の質
  • 「食後30分以内に歯を磨いてはダメ」なんてウソ!むしろ食後30分以内に歯を磨く必要もない
  • 歯医者は実際に夜寝る前の歯磨きだけ全力で行う(食後の歯磨きは適当にしかやらない)

といったところが大まかなポイントでした。

結構なボリュームのあるコンテンツなので、1度読んだだけで全てを理解するのは難しいと思います。

是非、何度も読み直して正しい知識を身につけてもらえればと思います。

この記事でお伝えしている内容をスラスラ言えるようになれば、知識としては十分です。

あとは少しずつ毎日の生活で実践するようにしていけば、もうお口の病気にビクビクする必要はなくなります。

虫歯ができるリスクも抑えられますし、歯周病にもかからなくなります。

あなたの歯1本1本は唯一無二ですし、歯医者の治療を受けたからといって、虫歯や歯周病が元どおり健康な状態に戻るわけではありません。

最も大切なことは、病気にならないこと。

特にお口の病気は虫歯と歯周病しかありませんから、予防するのは簡単です。一緒に歯医者の治療を受けずに済む、お口の環境を作っていきましょう!

では、今回は以上です。


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10 件のコメント

  • 宴会などの比較的長い飲食の時間は、どのくらいまでなら良いでしょうか?

  • しんさくさん、コメントありがとうございます!

    宴会などでは、砂糖を含んだ料理が大量に出てくることは稀です。砂糖以外の炭水化物であれば、そこまでリスクは高くありません。

    強いて気をつけるとすれば、飲み物ですね。コーラなどをずっと飲み続けるのはオススメできません。

    ただ、宴会も毎日やるものではないと思いますので、そこまで神経質になる必要はありません。
    下手に気にし過ぎて食事を楽しめなくなることの方がカラダに毒です。シュガーコントロールは、普段の生活で気をつけるようにしていただいて、
    ご友人と飲みに行ったり、忘年会や新年会などのイベントの際には1日くらいお好きな食事、飲み物を召し上がってください。

    僕自身、24時間、365日シュガーコントロールができているわけではありませんし、
    仮にそんなストイックな管理ができたとしても、人生がつまらなくなってしまうと思うので、患者さんにもオススメすることはありません。

    「要点だけ押さえておいて、気楽に実践してみる」
    のが大切だと思います。

    また何かあればコメントしてみてください。

  • 丁寧に応えて下さり、ありがとうございます。
    おかげで、定期検診で行く歯科医院(岐阜市)で今までは時々、歯の状態が歯周病・虫歯になる可能性があるから、しっかり歯磨きをするように言われていましたが、現在の状態は特に問題は無いそうです。
    プラークコントロールの歯磨きで、歯茎の歯肉が引き締まっているようです。
    シュガーコントロールは要点を押さえて、気楽にやってみます。
    それにしても、これほど有意義で確かな、自分で実践できる歯科・口腔ケアの方法を無料で公開して下さり、本当にありがとうございます。一宮市はちょっと遠くて通院は出来ませんが、これからもよろしくお願いします。

  • しんさくさん、こちらこそコメントありがとうございます!
    しっかり意識されてお口の中を管理されているんですね。素晴らしいと思います。
    多くの方が「歯の問題は歯医者が何とかするもの」と考えていますが、むしろ下手に治療を受けることこそが歯の寿命を短くする原因になってしまいます。
    是非、これからも無理のない範囲でご自分の歯を守るための習慣を実践してみてください。
    また分からないことなどあれば、コメントしてみてくださいね!

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  • 甘いジュースを飲んだ後、グチュグチュうがいをすれば、虫歯予防になりますか?
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    ABOUTこの記事をかいた人

    愛知県一宮市にある前岡歯科医院の院長で、『Dentalhacker』のライター。歯周病治療をベースに、「1本の歯を残す」ことにこだわった診療を行っている。『歯の本当の価値を伝いたい』という想いのもと、"歯ブラシから始まる予防歯科"の大切さを広めている。 たまにやる筋トレとバス釣りが趣味。根は真面目な性格だが、人を笑わすのが好きなので、よくウケ狙いに走る。診療中、患者さんに「最近肥えやーた?(名古屋弁で"太った?"の意)」と言われると、ヒドくテンションが下がるナイーブなハートの持ち主でもある。