驚愕の事実!歯の神経を抜いたらどんな結末が待っているのか?

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前岡遼馬
このコンテンツは、現役の歯科医師がお口の健康に関する話をできるだけわかりやすい言葉を使って解説するブログ記事です。当サイトの運営はこちらの運営理念に沿って行われています。

「神経を取ると、歯の寿命が短くなる」
ということをあなたは知っていますか?

「歯医者に行くと深い虫歯が見つかった」という場合、一般的に次に来る歯医者のセリフは「虫歯が深いので神経を取らなくてはいけませんね。」です。特に違和感を感じないかも知れませんが、歯の神経はそんなに簡単に抜いていいものじゃないんですね。

今回はそんな歯の神経を抜く治療、抜髄(ばつずい)が抱えるリスクについてお話ししたいと思います。

ではでは早速。

歯の神経ってそもそも何!?

先ず始めに、「歯の神経ってどこにあるのか?」というお話をしたいと思います。見やすいイラストを見つけたのでこちらをご覧下さい↓↓↓

歯髄
一般の方が書いたイラストなので、僕が若干赤のペンで修正していますが、大体こんな感じです。緑の斜線部分が、歯の神経(歯髄 しずい)と言われる部分です。
神経と分かりやすく言っていますが、正確には神経と血管が組み合わさったものが歯髄と呼ばれています。これがどんな役割を果たしてくれているかと言うと、

・歯への血液(栄養)の供給

・歯の知覚(しみたり、痛いという感覚)

です。
これが1本1本の歯、そしてお口の中全体を守っていくためにはすごく大切なものになります。
ではこの2つの役割が持つ意味を少し詳しく解説します。

歯髄の役割その1:血液の供給

先ずは「血液の供給」の意味です。
歯髄(歯の神経)には血管が含まれているので、当然血液が流れています。血液は栄養の塊でもありますし、免疫力そのものでもあります。

このおかげで、歯髄は歯の組織を作ることが出来ます。そして、歯が完成してからも歯髄は歯の内側の素材(象牙質)を作ることが出来るんですね。そして細菌が歯の内部に入ってきたとしても、ある程度免疫力で殺すことが出来ます。

歯髄の役割その2:歯の知覚

次に「歯の知覚」の意味です。一見、水がしみたり、痛みを感じたりしない方が快適に過ごせそうですが、「感覚がある」ということは大きな意味があります。

それは「僕ら自身が歯の異常を知ることが出来るということ」です。虫歯ができ始めていることや噛み合わせが悪いこと、力がかかり過ぎていることなんかも歯の知覚があるからこそ分かるわけです。歯の知覚がなければ、「とんでもなく虫歯が進行して、骨の中にまで炎症が広がってからようやく気づく」といった恐ろしい事態が平気で起こってくるわけです。

なぜ歯医者は大切な神経を抜くのか?

歯髄の役割を知ったところで、メインのテーマに入りたいと思います。
「なぜ歯医者は大切な神経を抜いてしまうのか?」
この理由は一つです。

「虫歯が原因で起こった炎症を、それ以上進行させないため」

これ以上でも以下でもありません。虫歯が深くなってしまった以上、致し方なくするのが抜髄(神経を抜く治療)です。虫歯が深くまで進行すると神経に到達します。ちょうどこんな感じです↓↓↓

虫歯の深い歯
こんな状態になると、かなり痛みが出ます。神経の中で細菌が繁殖し、歯髄の中の血液(免疫)では抑えきれない状態になっています。

この状態が続くと、いずれ神経が死んで痛みは感じなくなりますが、痛みがなくなったからといって治った訳ではありません。神経が死んで、さらに細菌が増殖すると、
perった歯
このような状態になります。根っこの先端に膿の塊があるのがわかるかと思います。

実際にこの状態で痛みが出るかどうかは、体の免疫力との兼ね合いによりますが、放置しておいて良いことは何一つありません。歯を支えている骨の中に膿の塊がある訳なので。
このまま細菌の増殖が続くと、少しずつ骨の中で炎症が広がり、最悪の場合、骨髄炎(こつずいえん)という骨の炎症に波及してしまいます。最終的に「全身麻酔で手術」といった大ごとになってしまうので注意が必要です(健康な方で骨髄炎まで発展することはあまりありませんが)。

以上の理由で僕ら歯医者は神経の治療を行います。

歯の神経を抜いてはいけない理由

「歯の神経の役割」、「神経の治療をする理由」をお話した上で、治療がもたらすデメリットもお話しておきたいと思います。

結論からお伝えすると、神経の治療をすると歯が割れやすくなるんです。神経を抜かれるということは、歯に血液の供給がなくなるということです。木のような植物であれば、「根から水分を吸収できない状態」になる訳です。水分を取り込めない木は、カラカラになり、乾燥して脆(もろ)くなります。すると強い力がかかった時に折れやすくなってしまうんです。

歯も全く一緒です。神経を抜かれて血液の供給がなくなるとカラカラになり、脆くなります。つまり、向かいの歯と噛み合った時に割れてしまう可能性が高くなるというわけです。

また、神経のない歯は通常の歯に比べ、「噛む力の調整がしづらくなる」というデータがあります。具体的には、通常の歯が「痛い」と感じる3倍以上の力で噛んで、ようやく痛みを感じるくらい鈍くなってしまうのです。この状態では、普通に食事をしているつもりでも、神経を抜いた歯には限界を超えた力がかかっていることになるので、歯が割れてしまうリスクが上がってしまいます。

歯が割れるというのはどういうことかというと・・・
破折した歯
こんな感じになってしまいます。

ここまでバラバラにならないまでも、歯の根っこに亀裂が入る場面も多いんです↓↓↓
2015.12.14.011
破折した歯は基本的に残すのがかなり難しくなります。ほとんどの場合、「抜歯」を選択されることになります。

なので、極力、歯の神経は残さなくてはいけないということになります。

歯の神経を残すためにあなたが出来ること

歯の神経を抜かれ、最終的に抜歯に至らないためにあなたが出来ることもお伝えしたいと思います。

答えは単純で、「歯の違和感があったら、すぐに歯医者で診てもらう」ということです。当然ですが虫歯が小さければ、最小限の治療で済みます。結果的に痛い治療になる可能性も少なく、かかる費用も最小限で、メリットしかありません。
それに、虫歯は放置していても決して治ることはありません。虫歯だけでなく歯周病もそうですが、お口の中の病気は一度かかってしまうと、「進行」の一途をたどることになります。他のカラダの病気のように、「たくさん食べて、たくさん寝れば治る」ということはないんです。

歯を守るために最も大切なことは、「早く治療して、再び虫歯・歯周病にならないための知識、テクニックを学ぶ」ということ。治療をするだけでは、あなたのお口の環境は何も変わりません。虫歯や歯周病になるまでには、必ず原因が存在します。そこをプロの目で見てもらい、正しいお口のケアを教えてもらうことが歯医者に通う最大の目的です。治療を受けた歯、そして他の健康な歯が、病気にならないように自分のお口を自分自身の手で管理することが出来なければ、唯一無二の歯を少しずつ失う結果になってしまいますから。

まとめ

今回は歯の神経を抜いた後のリスクについてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?

是非この記事を機に自分の歯を、そして神経を残すために早めに歯医者へ行ってみてください。お口の中はどう頑張っても自分で隈なくチェックすることは出来ません。痛みや違和感がなくても、小さな虫歯ができかけているケースはたくさんあります。

歯医者に行くのに早すぎることはないという気持ちで、先手先手で歯を失うリスクを潰していきましょう。

最後に、神経を抜いた歯がもれなく割れてしまうわけではありません。神経がなくても、普段からしっかりケアをしてあげることで一生使っていくことは十分可能です。もし、あなたに神経を抜いてしまった歯があったとしても、残った歯を大切にして頂ければと思います。

ではでは、今回はこの辺で。


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ABOUTこの記事をかいた人

愛知県一宮市にある前岡歯科医院の院長で、『Dentalhacker』のライター。歯周病治療をベースに、「1本の歯を残す」ことにこだわった診療を行っている。『歯の本当の価値を伝いたい』という想いのもと、"歯ブラシから始まる予防歯科"の大切さを広めている。 たまにやる筋トレとバス釣りが趣味。根は真面目な性格だが、人を笑わすのが好きなので、よくウケ狙いに走る。診療中、患者さんに「最近肥えやーた?(名古屋弁で"太った?"の意)」と言われると、ヒドくテンションが下がるナイーブなハートの持ち主でもある。